皆様から寄せられた元囚人の方への質問と、それに対して元囚人の方にご回答いただいたQ&Aです。質問を寄せていただいた皆様、そして快く回答に御協力いただいた元囚人の方々に感謝を申し上げます。ありがとうございました。




Q1

暴行された立場で、暴行する側の気持が理解できますか? なぜ暴行してしまうのか。ということです。

A1

いろんなケースがあって一言では言えません。 一時的にカッとなって暴力を振るうこともあるでしょうし、上からの命令で暴力を振 るうこともあると思います。刑務官の暴力には、特定の受刑者への報復や制裁の意味 もあります。







Q2

日本の刑務所は外国と違い暴動がない点で優秀だといわれますが、 その点と刑務官による人権侵害との関係をどうみるべきでしょうか?

A2

日本の刑務所で暴動がないのは、他国よりもはるかに厳しく受刑者が管理されてい るからでしょう。日本の受刑者は肉体的にも精神的にもまったく自由がない。暴動が 起きないことをもって優秀な刑務所というなら、受刑者の人権を全く認めない方が優秀な刑務所になると思います。







Q3

刑務官からの暴行については伺いましたが、服役中の人の間での、 上下関係による暴行はあるのですか? あるとすれば、どれ位ありますか?

A3

受刑者間で上下関係による暴力はほとんどないと思います。同室の受刑者間で言い 争いはあっても、ケンカで怪我をすることはほとんどない。 ところで、同室の受刑者がケンカをしていた場合、仲裁にはいること自体が懲罰の対象にされます。またケンカを見ているだけでも懲罰の対象になります。同室の受刑者が懲罰にならない為には、ケンカをしている人に背中を向けている必要があります。







Q4

刑務官による暴行を防ぐために、私達はどのような事ができると思いますか?

A4

抜本的な監獄法の改正が必要です。 暴力を振るった刑務官が処罰されることは、暴力の防止に役立ちます。また、刑務官 がどうして暴力を振るったかについて、その背景を調べ、上司の責任を追及すること も有効です。 市民の皆さんは、監獄法が正しい方向で改正されるように関心を持ってください。







Q5

肛門にガラス棒を差し込むのは、何のためなのですか?

A5

表向きは検便ということで、不正なものを刑務所に持ち込ませない為とされていま す。しかし実際は、受刑者となった人に対し、これからは人間として扱わないことを体で覚えさせるために、言い換えますと、人間としてのプライドを捨てさせるため に、行われていると思います。







Q6

読書する本の種類に制限はあるのですか?

A6

読むことの出来る本には制限があります。 受刑者が本を読む方法は二つあります。一つは刑務所の「図書館」の本を読むこと で、これは「官本」といいます。刑務所側が本を用意しますので、当然、刑務所に とって都合の悪い本はおいてありません。 もう一つは、受刑者が本を買うことです。基本的に受刑者は本を買うことが出来ます が、検閲がありまして、ここをパスしないと本は受刑者の手に渡りません。







Q7

服役中と出所後とでは、自分自信に何か変化はありましたか? (ご自分にとって矯正の効果があったと思いますか?)

A7

もちろんあります。刑務官には復讐心を持ちました。 刑務所というところは、受刑者に矯正を行うところではない、ということです。







Q8

刑務所内で、よかったと思うことはありますか?

A8

ありません。







Q9

革手錠について、体にぴったり締めつけた後、 それ以上に穴いくつ分ぐらい締め上げるのですか?

A9

革手錠について、刑務所側は否定しているのですが、体験的に幅や長さで大、中、 小の種類があるはずです。ベルトには10センチ間隔ほどで穴が開いています。体にぴった りした位置から、穴の数でどれだけ余分に締め上げられたかは自分では分かりませ ん。 革手錠は、何枚かの革を重ねて作られています。ベルト部分には、革と革との間に鋼 (はがね)が差し込んであることを最近になって知りました。革は少しは伸びるはず ですが、革手錠のベルトは少しも伸びません。なぜ伸びないか、その理由が分かりま した。







Q10

日本の刑務所は、収容人数が限界を越えていると指摘されていますが、 そのようなことを、実際に感じることはありましたか?

A10

もちろんあります。 8人の部屋に9人から10人が収容されます。そうしますと、単に部屋のスペースが狭 くなっただけでなく、入浴の時間も一人あたり少なくなり、あぶれる受刑者もでてき ます。また運動時間についても、今まで延長が認められていたものが、不許可になり ます。







Q11

刑務所で怪我をした場合などは、どんなお医者様に診てもらえるのですか? 怪我の状態によっては、医師が何らかのかたちで刑務所内部の実態を指摘し、 告発することもできたのではないかと思うのですが、この点に関して、 なにかお気付きの点はありますか?

A11

まず、刑務所の医者は、刑務官と仲間ですから内部告発は考えられません。医師については、名前も内科か外科かなどの専門の科も分かりません。刑務官服の上に白衣 をはおっただけの人(保健助手)が受刑者に注射をしたりします。







Q12

刑務所内で「おとなしく」していれば、理不尽な暴力を受けることも、 なかったのではないかと思うのですが、たびたび暴行を受けてまで、 刑務所内部の実態を訴えようとされたその想いは何ですか?

A12

たしかに、刑務官の言うことすべてに従順でしたら暴行を受けなかったでしょう。 刑務所の実態を訴えているのは、正義感からではなく、刑務官が不当なことを平気で 行うことに対し憤りがあるからです。言っていることと、やっていることがあまりに違う。







Q13

刑務官による刑務所内での暴行は許してはならいと思います。 しかし刑務所内において、服役中の人を有効に統制するには、 ある程度の「実力行使」も時には必要だとは思いませんか?

A13

「実力行使」が必要なら、法律的な裏付けを付けた方がいいと思います。現実は、 受刑者の権利・義務が法的に明確でなく、刑務官の判断でなんでも出来てしまう。 たとえば、受刑者どうしのケンカがあれば、それぞれを分離して保護房に入れればいい。それで「実力行使」はおしまいのはずです。しかし現実は、恣意的な懲罰がこな われます。







Q14

以前に名古屋刑務所内部を見学させていただいた時には、 漫画や雑誌などがあったり、テレビもチャンネル規制はあるものの、 労働後は比較的自由に視聴できるような印象を受けたのですが、 実際はどうなのですか?

A14

私は、2年以上の受刑者暮らしのなかで、テレビを見たことがほとんどありません。 おそらく質問された方が見られたのは、1級の受刑者の処遇だと思われます。刑務所 は、受刑者の処遇がいいことを見せたくて、しばしば1級の受刑者への処遇を見学者 に見せます。2,000人ほどいる受刑者のなかで、1級の受刑者は10人くらいしかいま せん。 受刑者は4級、3級、2級、1級と分けられていまして、それぞれの級で処遇が大き く違います。たとえば、手紙の発信は、4級では月に1回だけ認められますが、1級 ではいつでも発信できます。尚、昇級を決めるのは、刑務官の恣意的な判断です。







Q15

革手錠使用の問題について、その原因と責任はどこにあると思いますか? 例えば指揮官・刑務官・刑務所幹部クラスのどこに問題があると思いますか?

A15

刑務所の問題すべてに当てはまることですが、末端からてっぺんまで全体に責任が あります。







Q16

実際にあなたに革手錠を装着した刑務官に対しては、 どのようなことを言いたいですか?

A16

何を言ってもしょうがないと思います。起訴された刑務官は平気でウソをついてい る。こういう人に言うべき言葉はありません。







Q17

懲罰部屋での明かりはあるのですか? 真っ暗で明かりがないとすれば、その恐怖感は、どれほどのものですか?

A17

部屋には独居房と保護房があります。 独居房は取り調べに使われたり、長期間の懲罰(厳正独居拘禁)にも使われます。窓 が小さく、部屋の照明は日中点灯しませんので、曇りの日など室内は非常に暗くなり ます。夜は照明が点灯します。 保護房は革手錠をかけられた人などが入れられます。蛍光灯が24時間点灯していて消 せません。

※懲罰について少し説明します。 刑務所の懲罰とは、ほとんど軽屏禁(けいへいきん)のことです。軽屏禁とは、指定 された場所で同じ姿勢を朝から夕方までさせることです。休憩はトイレのみでした。 同じ姿勢とは、以前は正座でしたが、今はあぐらです。同じ姿勢を何時間も続けるこ とは非常に苦痛です。 他の懲罰は軽屏禁に併せて科せられます。たとえば、「文書、図書閲覧の三ヶ月以内 の禁止」、「七日以内の減食」などです。







Q18

刑務所にとって、その内部の実態を外部へ知らされのは、 それほど不都合なことなのでしょうか?

A18

もちろん不都合だと思います。刑務所は、自分のやっていることを一般社会から評価や批判をされたくないと思っているはずです。それは、法律上で根拠のないことを 独断的にいっぱいやっているし、一般市民常識から批判の出そうなこともいっぱい やっているからです。




BACK