文責:野宿労働者の人権を守る会
                            http://www2.ocn.ne.jp/~n-nojuku/

夏が近づくにつれ、仲間たちへの襲撃事件が増えています。テントに花火やタバコを投げつけられたり、あるいは殴られたりと、荷物のすべてを焼失した仲間もでています。こういう事件も最近では、ほとんど報道されることも警察の本格的な捜査もなく、多くの仲間たちは泣き寝入りをしているのが実態です。仲間に対する偏見はが、解消されるどころか、よりいっそう増していると思われます。
 今年3月中旬にある新聞の社会面に、「路上生活に疲れ、これしか楽しみなかった・・・ ホームレスが覚せい剤乱用 中区で12人逮捕 暗躍イラン人から購入?」といった大きな見出しが踊りました。この記事に対しては早速、「あたかも野宿者の多くが覚せい剤を使用しているかのような印象を与え、偏見と差別を助長する」として、抗議文を送りました。
 こういったマスコミの報道やテレビ番組などでおもしろおかしく語られるホームレス像が、普段、仲間と接したこともない地方の子供たちにまで、仲間についてマイナスイメージを植え付ける結果になっているのではないでしょうか。
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 6月12日の朝日新聞名古屋本社発行の夕刊に次のような記事が載りました。

   「ホームレスと会い先入観変わった
        三重の中学生21人、白川公園で交流」

三重県楠町の町立楠中学校の生徒たちが、校外学習の一環として名古屋市中区の白川公園を訪れ、ホームレスと交流した。テントなどで暮らすホームレスから聞いた話を、感想文にまとめて冊子をつくる作業を進めている。ホームレスを訪ねたのは2年生の21人。同校の松本和美教諭が「色々な人に接することで、社会に適応する力をつけてもらいたい」という校外学習のねらいから、ホームレス支援団体の協力を得た。
 生徒たちはホームレス6人から、家を出た理由、生活費を稼ぐ方法、花火やたばこをテントに投げつけられた話などを聞き、テント内も見た。真剣な表情でメモを取った。その後、授業で全員が感想文を書いた。村田龍一君は「(アルミ缶回収の稼ぎが)1週間で1000円ぐらいと言う。僕たちは何もしなくてもこづかいもらえるのに」とホームレスの現実に触れた。甲斐裕華さんは「(彼らを)ホームレスにしてしまったのは、世の中なのに」と訴えた。ホームレスへの先入観が変わったと書いた生徒が多かった。
 生徒たちに話をしたホームレスの1人は「先生の引率で中学生が訪ねてきたのは初めて。花火や爆竹を投げつけたりする子供らが多い中で、真剣に話を聞いてくれてうれしかった」と話していた。ホームレスを支援する名古屋市の「野宿労働者の人権を守る会」の大学院生(30)は「こうした交流の教育が、子どもたちの偏見を取り除き、襲撃事件などを減らすことにもつながると思う」と話した。
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 野宿の仲間と接したことのある子供たちはいませんでした。にもかかわらず、記事にもあるように、子供たちの持つホームレスに対するイメージは、「怖い」「なんか暗そう」「好きで野宿している」といった偏見や誤解に満ちたものでした。
 仲間との2時間近くに及ぶ「交流」では、仲間が生の声で、生活の厳しさや市民からの差別や偏見のまなざしなどについて語りました。しだいに子供たちも緊張が取れたのか笑顔や冗談を言うようになり、女子生徒は仲間の1人と一緒に記念撮影などしていました。交流の最後に、生徒たちに対してもう一度、ホームレスのイメージを聴いた所、誰1人として「怖い」などといった発言はなく、「全然明るかった」「仕事がなくなって仕方なく野宿していることを知った」「路上生活がすごく大変なことを知った」といった内容に180度変わりました。
 この学校の先生は「ホームレスに会った子供たちと会わなかった子供たちの感覚のずれはかなり大きい」と話しています。ソフトボール大会一つとっても、仲間に会った子供たちが「生きていく中での数少ない楽しみ」と説明しても、会わなかった子供たちは「ふざけている」などと話を聞こうとしないとのことです。それでも会った子供たちは「だれも知らないよりは私たちだけでも知ってよかった」と感じているそうです。
 社会に対して仲間が自らの声で発していくことがいかに大切か、今回の校外学習で明確になりました。こういった仲間の声の積み重ねが、一般市民やマスコミ、行政などの意識を変えていくことにつながると考えています。私たち「野宿労働者の人権を守る会」では今後も、どうやれば1人でも多くの市民に仲間の声が届けられるのか、仲間とともに模索していくつもりです。

ホームレスと中学生の交流 

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